2020.06.10
こんにちは。菅井歯科医院 藤沢の長岡です。
最近は暑い日が続きますね
さて、今日はお口の環境改善のための治療を一例ご紹介します。
そもそも、「お口の環境改善」とは何でしょう。
まずはこちらの写真をご覧ください。
この方は50代の女性です。
二本の歯に、茶色い点状の虫歯があります。
この二本だけに同じような虫歯ができていますね。
実はこの二本の歯だけ、はえぎわの歯茎が柔らかい粘膜になっています。
本来、歯のはえぎわの歯茎は、硬くて強い角化した歯肉です。これを角化歯肉といいます。
角化歯肉は炎症や刺激に強く、歯周病のリスクを軽減します。
しかし、はえぎわの歯茎が柔らかい粘膜だと炎症に弱く、表面の炎症(歯肉炎)が骨に到達する深い炎症(歯周炎)に進みやすくなります。
また、柔らかい粘膜は刺激に弱いので、歯ブラシを当てると痛みを感じます。
上から見た写真です。
柔らかい粘膜がせり上がり、歯の側面に乗ってしまっています。
こんな粘膜と歯の間にはプラークがたまりやすくなります。
ここはちょうど虫歯ができていたところですよね。
この患者さんは、特別歯みがきが苦手なわけではないのですが、
歯の周りに角化歯肉がなく
粘膜のため歯ブラシがしっかり当てられず
プラークがたまりやすい環境
だったのです。
虫歯の治療だけをしても、このままでは必ず再発します。
ですので、「お口の環境改善」を行いました。
具体的には、
歯の周囲の柔らかい粘膜の部分を、角化歯肉にします。
「遊離歯肉移植術」という手術を行いました。
角化歯肉がたくさんある上あごから歯肉を移植します。
移植した角化歯肉が、糸で縫い留めてあります。
治療後二年経過した状態です。
歯の周りに、薄ピンク色の硬い角化歯肉ができています。
もう歯に歯茎が乗ってくることもなく、しっかりと歯ブラシが当てられるようになりました。
治療費は80,000円(税別)でした。
治療前後の比較です。
歯茎下がりも少し改善されました。
こんな風に一見虫歯とは関係なさそうな「お口の環境改善」ですが、きちんと行うことで、歯の健康をぐっと長持ちさせることができます。
つい、治療の終わりがゴールと考えてしまいますが、実はそこがスタートです。
治療が終わった健康な状態をいかに長持ちさせるかを大切に考えています。
お困りごとなどありましたら、何でもご相談下さいね。
藤沢駅より徒歩5分